Dapps(ダップス)について知らない方は多くいます。Dappsとは、ブロックチェーン技術を使った新しいタイプのアプリケーションです。この記事では、Dappsの基本からメリット・デメリット、具体例や始め方を解説します。記事を読み、Dappsの全体像を理解しましょう。
Dapps(ダップス)とは分散型アプリケーションの略称
Dappsとは分散型アプリケーションの略称です。
次の2つを解説します。
- Dappsの歴史と背景
- Dappsと従来のアプリケーションとの違い
Dappsの歴史と背景
Dappsの歴史は、ブロックチェーン技術の発展と密接に関係しています。
以下にまとめました。
年代 | 内容 |
2008年 | ビットコインの誕生により、ブロックチェーン技術が実用化される |
2013年 | Vitalik ButerinがEthereumを提唱し、スマートコントラクトが登場する |
2015年 | Ethereumが正式にローンチされ、Dappsの開発が本格化する |
2017年 | CryptoKittiesが人気を集め、Dappsが広く注目される |
2018年 | DeFiの急成長により、Dappsの利用が拡大する |
2020年 | NFTが普及し、Dappsの用途が多様化する |
2008年にビットコインが誕生し、ブロックチェーン技術が実用化しました。ブロックチェーン技術は、従来の中央集権型システムとは異なり、データの改ざんが難しく、透明性が高いのが特徴です。2013年にVitalik ButerinがEthereumを提唱し、スマートコントラクトの概念が登場します。
スマートコントラクトとは、契約や取引を自動化する技術です。2015年にEthereumが正式にローンチされると、Dappsの開発が本格的に進行します。初期のDappsは、主に金融やゲーム分野に集中していました。2017年にはデジタル猫を育成するCryptoKittiesというゲームが登場します。
CryptoKittiesの人気によって、ブロックチェーン技術とDappsの可能性が広く認知されました。2018年以降、DeFi(分散型金融)の急成長によって、Dappsの利用は一気に拡大します。DeFiとは、従来の金融機関を介さずにローンや保険の取引を行うサービスです。
2020年にはNFT(非代替性トークン)が普及し、Dappsの用途が多様化しました。NFTとは、デジタルアートやゲームアイテムに価値を持たせる技術です。Dappsは現在さまざまな分野で活用され、日常生活に浸透しつつあります。
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Dappsと従来のアプリケーションとの違い
Dappsはブロックチェーン技術が基盤です。分散型で特定の組織や企業が管理していません。従来のアプリケーションは中央集権型であり、特定の企業や組織が運営と管理を行います。Dappsは公開されたコードを基にしており、誰でも仕組みを確認することが可能です。
従来のアプリケーションは自由が制限されたソフトウェアが多く、ソースコードは非公開です。Dappsはスマートコントラクトを採用しており、業務プロセスが自動化されています。ユーザーはトークンや仮想通貨を使って直接取引やアクセスが可能です。
従来のアプリケーションは法定通貨を使い、金融機関を介して取引しなければなりません。従来のアプリケーションは1つのサーバーやデータセンターに依存しているため、障害が発生するとリスクが高まります。Dappsはネットワーク上にデータが共有されており、安全性が高いです。
Dappsの仕組みと特徴
Dappsの仕組みと特徴について、次の4つを理解しましょう。
- ブロックチェーン技術を活用している
- 分散型システムで中央管理者が存在しない
- スマートコントラクトにより自動化されている
- オープンソースで透明性が高い
ブロックチェーン技術を活用している
Dappsは分散型台帳技術(DLT)を基盤としています。DLTとは取引データを共有・記録するシステムで、ブロックチェーン技術には欠かせません。ブロックチェーン技術を利用することで、データの改ざんが難しくなり、信頼性が確保されます。ユーザー間で直接取引が行えるため、仲介手数料がかかりません。
分散型システムで中央管理者が存在しない
Dappsには中央管理者が存在せず、全ユーザーで平等に管理するという特徴があります。取引を全ユーザーが監視することで、データの改ざんを防止できます。取引は暗号化された上、分散して保存されるため、1つのデータが攻撃されても全データの改ざんはできません。サーバーダウンのリスクも低いです。
スマートコントラクトにより自動化されている
スマートコントラクトとは、デジタル契約をコード化して自動で執行する仕組みです。条件が満たされると支払いや売買契約が自動で行われるため、信頼性を確保できます。コードに基づいて自動的に動作するため、人間による操作ミスや不正行為が起こりません。
オープンソースで透明性が高い
Dappsでは、ソースコードが公開されており、誰でもアクセスすることが可能です。不正やバグが発見されやすく、透明性が高いため、ユーザーは安心して取引できます。オープンソースコミュニティによるサポートを受けられ、初心者にも優しいです。
セキュリティに問題が発覚した場合の対応も早く、安心して利用できます。開発者やユーザーのフィードバックが反映されやすいのも特徴です。
Dappsのメリット
Dappsのメリットとして、次の3つが挙げられます。
- セキュリティが高く改ざんを防げる
- 中央管理者がおらず自由度が高い
- トランザクションコストを削減できる
セキュリティが高く改ざんを防げる
ブロックチェーン技術を活用しているDappsはセキュリティが高く、データを改ざんされる心配がありません。分散型台帳によりデータの変更が難しく、スマートコントラクトにより取引が自動化されるため、人為的なミスも少ないです。全取引履歴が公開されており、透明性も高いです。
中央管理者がおらず自由度が高い
Dappsには中央管理者が存在せず、運営方針やルール変更はユーザーの合意によって決定されます。検閲が行われないため、自由なコンテンツやサービスが生まれやすく、多様な意見や創造的なアイディアが飛び交います。ユーザー情報が一元管理されないため、情報漏えいのリスクも低いです。
トランザクションコストを削減できる
Dappsには中間業者がいないため、従来の取引に比べてトランザクション(取引)コストを大幅に削減できます。スマートコントラクトによる自動化で、人的コストが抑えられるのも理由の1つです。迅速な決済プロセスにより、時間効率も良くなります。
Dappsのデメリット
Dappsのデメリットは次の3つです。
- スケーラビリティ問題がある
- 手数料(ガス代)が発生する
- 法的規制とコンプライアンスの課題がある
スケーラビリティ問題がある
Dappsでは、トランザクション速度が低いとネットワークが混雑し、取引が滞る問題があります。ネットワークのデータ量は限られているため、多くのユーザーが同時に利用すると遅延が発生しやすいです。スケーラビリティ問題は現時点での解決が難しく、大規模なアプリケーションには向きません。
手数料(ガス代)が発生する
Dappsで取引するたび、手数料(ガス代)が発生します。ガス代はネットワークの運営やセキュリティを維持するためにマイナーやバリデーターに支払われます。ネットワークの混雑状況によってガス代が変動する点に注意が必要です。
ネットワークが混雑しているとガス代が高くなります。有名なNFTアートの取引が集中するとガス代が急騰することがあり、ユーザーにとっては負担が大きいです。ガス代の高騰はスケーラビリティ問題を助長するため、早急な改善が求められています。
法的規制とコンプライアンスの課題がある
Dappsを利用する上で、法的規制とコンプライアンスの課題は無視できません。各国で法律や規制が異なるため、現状はグローバルな展開が困難な状況です。金融の規制が厳しい国ではDappsの利用を制限・禁止しています。法律の変更や新たな規制が頻繁に発生するため、常に最新の法規制に対応しなければなりません。
プライバシー保護やデータ管理に関する法律への対応も必要です。法律に違反すると、企業は重大な罰則を受ける可能性があります。違法行為の監視や防止も難しく、責任の所在が不明なケースが多いです。
Dappsの具体例
Dappsの具体例を次の2つ紹介します。
- Dappsゲームの例
- 分散型取引所(DEX)の例
Dappsゲームの例
Dappsを活用した主な人気ゲームは、以下のとおりです。
- CryptoKitties
- AxieInfinity
- Decentraland
- GodsUnchained
- TheSandbox
CryptoKittiesはデジタル猫の収集や育成、取引を行うゲームです。プレイヤーは世界に1つしかないデジタル猫をブロックチェーン上で所有して楽しみます。Axie Infinityはプレイヤーが仮想のペット「Axie」を育成して戦わせるゲームです。
Decentralandは、仮想空間の土地を購入してさまざまな活動を行います。Gods Unchainedは、NFT技術を利用したデジタルカードゲームです。The Sandboxは、仮想空間の土地を所有するユーザーがゲーム構築し、別のユーザーに提供できます。新たなゲームの可能性として注目度が高いです。
分散型取引所(DEX)の例
分散型取引所(DEX)とは、ユーザーが直接仮想通貨を交換できるプラットフォームです。
代表的なものとして、以下が挙げられます。
- Uniswap
- SushiSwap
- PancakeSwap
- CurveFinance
- Balancer
Uniswapは最も有名なDEXの1つです。自動マーケットメーカー(AMM)という仕組みを使い、ユーザーは簡単に仮想通貨を交換できます。SushiSwapは、Uniswapから派生したDEXで、SUSHIトークンを取引報酬として獲得できます。UniswapやSushiSwapは、使いやすく流動性も豊富なため、初心者におすすめです。
PancakeSwapは主にバイナンススマートチェーンで動作するDEXで、低い手数料と高速な取引が魅力です。Curve Financeはステーブルコインの取引に特化しており、低いスリッページで取引ができます。Balancerは複数のトークンプールを持つDEXで、流動性提供者は自分の資産を複数のトークンに分散できます。
Dappsの始め方
Dappsを始めるためには、以下の手順で行ってください。
- 仮想通貨取引所の口座を開設する
- 仮想通貨を購入する
- ウォレットの準備と設定をする
- Dappsとウォレットを接続する
仮想通貨取引所の口座を開設する
Dappsを始めるためには、仮想通貨取引所の口座開設が必要になります。
開設手順は以下のとおりです。
- 仮想通貨取引所のサイトにアクセスする
- 個人情報を登録する
- 本人確認書類を提出する
- 二段階認証を設定する
まず仮想通貨取引所のサイトにアクセスし、名前やメールアドレス、住所など必要な個人情報を登録します。本人確認のため、運転免許証やパスポートなどの公的書類の提出が必要です。本人確認が完了したら、セキュリティ強化のため二段階認証を設定しましょう。
口座開設の審査を待ち、審査を通過すると口座が開設されます。銀行口座から取引資金を入金すれば、仮想通貨を購入する準備が整います。
仮想通貨を購入する
仮想通貨は、信頼できる仮想通貨取引所で購入しましょう。利用者の評判やセキュリティ対策の実績を確認し、適切な取引所を選んでください。詐欺やマネーロンダリングを防ぐため、取引所は本人確認(KYC)を行う義務があります。完了していないと仮想通貨を購入できないので気をつけましょう。
本人確認が完了すると、銀行口座やクレジットカードを登録できます。資金を入金したら、ビットコインやイーサリアムなど購入したい通貨を選択しましょう。取引所の指示に従って購入手続きを進めれば、簡単に仮想通貨を購入できます。
» 仮想通貨の種類と選び方、リスクについて解説!
ウォレットの準備と設定をする
Dappsを利用するには、ウォレットの準備が不可欠です。仮想通貨の代表的なウォレットとして、メタマスクが挙げられます。メタマスクは公式サイトから簡単にインストール可能です。
新しいウォレットを作成すると、シードフレーズが表示されます。シードフレーズとはウォレットを復元する際に必要なパスワードで、失くしてしまうとウォレットを復元できません。安全な場所に保管し、誰にも教えないようにしましょう。
メタマスクを使う際は、ネットワークの選択が重要です。取引する通貨に応じて、適切なネットワークを選びます。ガス代やセキュリティの設定も確認しましょう。
Dappsとウォレットを接続する
仮想通貨取引所で購入した通貨をメタマスクへ送金したら、Dappsに接続します。Dappsの公式サイトを開き「接続」ボタンをクリックしてください。ポップアップでウォレットとの接続を求められたら、ウォレット内で接続を承認します。承認すると接続は完了です。
接続したDappsでアクションを実行するたびに、ウォレットの承認を求められる場合があります。承認する際は内容を確認してから行うようにしてください。安全に利用するために、ウォレットの設定は定期的に確認しましょう。
まとめ
Dappsはブロックチェーン技術を活用した分散型アプリケーションです。中央管理者が存在しないため、セキュリティが高く、透明性が高い点が特徴です。Dappsは自由度が高く、取引コストが安いメリットもあります。Dappsを利用する際は、スケーラビリティ問題やガス代の高騰、法的規制に注意が必要です。
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